逃げるしっぽを追いかけろ

生物学専攻大学院生の趣味ブログ・マイペース更新

『ファイト・クラブ』(1999)映画の中なら全部ぶっ壊せるから気分が良い【映画感想】

自分が生まれた年に制作・公開された、という知識だけをもって観た。

結果、すごく面白かったので、ついファンアートまで描いてしまった!

ブラピって王子様キャラのイメージだったけど、男の理想みたいな役もしてたんだね。

 

絵を描いたら割と出し切った感があるので、文章での感想は少しだけ。

まず、主人公が不眠症を抑えるために、治療困難な疾患患者向けのセラピーに混ざるようになるというところから、既にワクワクして引き込まれた。何故かは知らないけれど、変な癖が出てくるとだいたいワクワクしてしまう。マガーク少年探偵団に出てくるキャンディを音を立てて噛み砕く癖とか、吉良吉影の切った爪をためる癖とか。あとは、九龍ジェネリックロマンスの、スイカとタバコを同時に味わうのが好きという話も良い。

殴り合い描写も、最初は所持品の奴隷を脱却して生を痛感する爽快感がある一方で、徐々に規律に盲従して過酷な活動に身を投じるスペースモンキー達が不気味に見えてきて、バランスが良いなと思った。自分は、唯一の正しさ(作者の考える中では)みたいなものが押し出されている作品よりも、シンプルなものでもとにかく色んな角度からの視点を示してくれる作品の方が好きだから。

最後はいわゆる爆発落ち。爆発落ちでいつも思うのは、物語はいちばん爽やかな瞬間で終わっているものの、その後で主人公たちは結構大変な目にあうだろうな~ということだ。こういう展開は終わりのある物語だからこそできるんだよな、としみじみ思ってしまった。

 

どんでん返しについては、主人公がタイラーの言うのをおうむ返しすることでマーラと会話しているあたりで、「あれ、タイラーって主人公の内側の人…?二重人格…?」と訝しみ、とはいえタイラーは尿入りスープの件で訴えられていて主人公外との関わりもありそうだから「ほな二重人格とちゃうか…」とも思い、徐々に1人ミルクボーイみたいな感覚に支配されていった。はっきりと二重人格でした、と示されたときの「やっぱりそうだよね!?」という気持ちも、作品の爽快感に一役買っていたと思う。

 

面白い映画でした。

まるでこの映画自体が、自分の人生に一コマだけ紛れ込んだポジティブな狂気って感じ。たった一コマだけど、これからの進み方にいい影響を与えてくれそうだ。